インタビュー

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患者さまは何に困っているのか。1人ひとりの声に応えられる診療を目指したい

心臓や腎臓の病や手術の後遺症、肥満など、さまざまな原因から生じるむくみの症状は、病院に行っても「良くならない」「仕方がない」と放置されがち。そんな悩みを抱えた患者さまを1人でも減らすのが私の使命です。

医師を志した理由、心臓血管外科を選択したきっかけとなるエピソードを教えて下さい。

父親が泌尿器科の医師で、他の科目の診療はできなかったのですが、あるとき、近所の方が急性喉頭浮腫で呼吸困難を引きおこして駆け込んできたことがありました。その時、父はとっさの判断で、気道を確保するために包丁で患部を刺してストローを差し込む処置をおこない、命を救いました。そんな父を見ていて、緊急事態に人助けができる医師の職に惹かれたのだと思います。

始めは僻地医療に関心があったのですが、縁があって卒業後に入局したのは心臓血管外科でした。脳外科と心臓血管外科とで迷ったのですが、オールラウンドで診療できるのは心臓血管外科だと思い選択しました。救急病院も経験しましたし、外科の領域は一通り学んだので、内視鏡や整形外科の診療もできます。当初目指していた、総合診療をおこなえる医師としての技術を身につけられたと思っています。

リンパ浮腫に力を入れる理由は?

学生時代に教わっていた教授が専門にしていたので、リンパ浮腫についてはよく知っていました。でも大学から出てみると、意外にもむくみの症状に対して「仕方がない」「治しようがない」として放置されがちな医療の現状を目の当たりにしました。実際に困っている少数の方々を見過ごせない、という思いが強くなっていったんです。

そこで、心臓血管外科として診療に携わるより、リンパ浮腫で困っている人をひとりでも助けたい、そういう思いで、静脈の病気や体質など、さまざまな原因からくるむくみの症状の改善に力をいれるようになりました。

医師としてのやりがいは?

患者さまの多くは、むくみに困って来院されます。すでに他の病院で、心臓や腎臓の病気の有無の検査を受け、大きな病気ではないと診断されたうえで当院に来院される患者さまが大半です。処方された利尿剤で症状が改善しないと訴える方もいらっしゃいます。

当院では、このようなむくみの悩みを抱える患者さまに対して、ストッキングのようなサポーターで圧迫する治療をおこなっています。対症療法ではありますが、症状を改善する手段として取り入れています。むくみの原因自体へのアプローチではないですが、当院に来れば症状がやわらぐ、むくみとうまく付き合っていけると喜んでくださる患者さまが増えれば、それがやりがいと言えるでしょうね。

診察の際に心がけていること、気をつけていることを教えてください。

患者さまが何に悩み、何をして欲しいのか、その気持ちを汲んだ診療を心がけています。そのため、患者さまとお話しながら、顔色や様子の変化まで細やかに診ています。例えば、高血圧症の方の場合でも、薬で血圧を下げたことで、かえって調子が悪くなるような患者さまは、無理に下げる必要はないと考えます。また、現状を理解していただき、納得して病と向き合っていただけるよう、中途半端な説明はしないようにしています。例えば、肥満が原因でむくみがちな患者さまには、そのことをはっきりとお話しいたします。

なお、当院では、診察前に問診票を記入していただいていますので、緊張されているなど、患者さまがうまく症状をご説明できなくても、ある程度は症状を把握できます。そのうえで、エコーを用いて、リンパ浮腫か日常的なむくみかなどを丁寧に見きわめていきます。悩むより、まずはお気軽に来院いただければ幸いです。

最後に、患者さまにメッセージをお願いいたします。

むくみというのは病気ではなく、症状です。むくみの原因は心臓、腎臓の病気や静脈血栓症の後遺症などから肥満までさまざまですが、原因となる病気や体質を改善しなければ良くなることはありません。場合によっては、「良くなる」ことより「つきあう」方法を考えた方がよいこともあります。

また、今はインターネットなどの情報から自己判断をして過剰に不安を抱えておられる患者さまもいらっしゃいます。ひとりで悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。一緒に病とのつきあい方を考えるのが私の役割であり、使命だと思っています。